2017/01/24 心臓
朝6時ごろ起きた長女、まだ麻痺は続いてる。「何かわかったの?」と聞いてくる「んん、まだ分からない」と言うと「こんなふうに動かなくなる病気はどんなのあるの」とかそんな風なこと。うーんなんだろう。とか何とか。そして今度は「マルバツゲームがやりたい」と。昨日に夫がスマホアプリで遊んだらしい。確かに片手でできるし簡単だし良い。ダウンロードして2回ほど遊ぶ。そして今朝はおしっこはズボンを下ろしてからできる余裕はあった。
朝食、味噌汁をよく飲む。でも他のは何口か。右手だけで上手に食べる。そして今度は動く方の右手と右足が痛いと言い出す。2、3日前は左足が痛いと言っていたのだ。医師と看護師にみてもらう。顔の動きや目の動きなどチェック。今日はMRIなど検査することになると思います。とのこと。
また味噌汁を飲んで寝てしまった。怖い。麻痺が全身に広がってしまうのが怖い。可愛くて面白いおしゃべりが聞けなくなるのが怖い。
主人が次女を連れて病院にくる。私は3ヶ月に一度の婦人科の予約が入っているので9時半から薬をもらいに受診せねばならない。こんな日に。ずらせないのかって?毎日飲む薬があと少しでなくなるタイミングで先月その婦人科の先生が肺炎で入院していたので伸ばされてしまっておりその先生も予約のみ、週二回しか診察しないのでこれ以上伸びるとまずい。
私が出る直前に医師が何人か連れ添って診察。歩けなくなった状況の様子を色々聞かれる。まず考えられるのは血管。前回の入院時から血小板の値が低かったのでどこかで固まったり中で出血していたら血小板がそこに集まるのでそう言うこともある、その可能性も含め今日はMRI、髄液検査となるそう。
私はそのままタクシーで別の病院へ。タクシー内から私が受ける婦人科へ電話と、着いてから受付で、早くしてくれるよう頼む。その間に長女はCTを先にとってもらったらしい。
後少しで夫はここ何日かミーティングなどのドタキャンを続けているので会社へ行かなければならず、行ってしまうと次女がラウンジに一人になってしまう。診察が待たされている。会計も待たされている。その間に私の母と夫のお母さんと電話。説明しようとするがボロボロに泣いてしまって全然うまく言えない。母「しっかりしんさいよ、大丈夫よ、こう言う時しっかり笑顔で接するんよ。大丈夫よ。」お義母さんも「大丈夫よ、明日行きますからね。」と。義母に病院の名前を教える。夫は次女を一人にするわけに行かないので、打ち合わせを一つキャンセルするとショートメール。私は自分の診察で予定されてた血液検査と子宮がん検診はキャンセルし会計だけ済ませて薬は後でもらうことにしてタクシーで戻る。
戻るタクシーの中で夫からショートメール
「うーん、脳梗塞みたい。」
…なんでそんなことが起こるんだろう。全然遠い所の話のような気がしてしまう。しかし症状からするとその可能性が高かったわけだし、やはりそうかと言う気もする。頭の中が泥のようになって動かない。それになんで私はその話を自分のくだらない月経過多の薬を貰うためになんかでタクシーで知るんだろう?私は予約を土曜にどうしてもずらせないか聞けばよかったのに。
脱水症状を起こす前にもっと何かしてやれる事があったんじゃないか、私が長女をほったらかしにしすぎたのか、しかりすぎたからなのか、あれが悪かったんじゃないか、入院してから足が痛いと言う時にマッサージしたのが悪かったのか、自分がした事、しなかった事、全てが悪い方向に向かってこんなことになってしまったんじゃないか。そんなことが繰り返し現れては消え現れては消える。
部屋に着くと夫から医師に説明してもらった事を伝えてもらう。
血栓がある、この血栓ができたと考えられる原因がいくつか候補が上がっていて、血液検査と髄液検査、MRIで探っていき、脳神経外科の先生にも見てもらうと言うこと。夫が淡々と説明してくれるおかげでだんだん事実が分かり、腹の底に溜まってきた。そうなんだ。脳梗塞なんだ。こんなに小さい子なのに。なってしまったんだ。泣いて夫の手を握った。
夫が一つキャンセルしてくれたおかげで時間に余裕ができ、次女を迎えにきた友達と病院併設のカフェで話ができる。泣かずに色々と状況を説明していくと、改めてどう言うことになっているかがはっきりとしてきて少し自分の腹も決まってくる。長くかかろうがなんだろうが私は娘を、支える。
戻るとMRIがちょうど始まる所。移動するベッドに乗せられている長女。ちょっとした待ち時間に夫は携帯のスーパーマリオランなどやらせてあげている。確かに片手でできる。そう言う気晴らしをさせるのがとてもうまいのだ。
MRIの検査が始まると主人は仕事のミーティングをしに出かけた。病室に戻ると看護師さんが「びっくりしたでしょう、言いたいことがあったら何でも言ってくださいね、本当にお辛いですね」と肩と腕をさすってくれると、とめどなく涙があふれだしてしまった。うん、うん、と優しくしてくれる看護師さん。
MRIが終わり、どうだった?うるさかった?ときくと「想像よりずっとうるさかった」という長女。部屋に戻ると昼ごはん。お腹が減っていたようで一気にほとんど食べてしまう。しかし顔も片方麻痺が出ているようで左の口の端から食べ物や飲み物が少しだがこぼれていく。
そしてただとりとめのないことを話す。カーテンの柄のゴリラがジャイ子に似ているだとか。ジャイアンが自画像を書いたらそのゴリラ上手く書けてるねって言われた話とか。声は小さいがしっかり喋る。私が小学校の“はつか大根”の鉢を持って帰るのを忘れてしまっているから持って帰ってきてよ、とか、しばらくは車いすで学校に行くのかな、とか。右手は動くから絵は描けるし、消しゴムはおさえればいいし、とか。
まだ本人はこれは凄く軽いものだ、そのはずだと思っている。そう思うはずだ。でもこんなにいろいろ検査されて大変で私たちに迷惑をかけるのを心配している、そういう子なのだ。
小児科以外の先生、脳神経外科の先生がきてまた動かなくなった時の状況を聞かれて話す。色々喋っていると長女「わたしどうしちゃったの」不安なよう。
主治医の先生からMRIの画像の結果を別室で聞く。脳梗塞、右中大脳動脈、右内頚動脈に血栓、右線条体の脳梗塞。どうして血栓ができたのか原因を探っています。治療として、抗血小板療法(アスピリンの内服)抗凝固療法(ヘパリンの点滴)脳保護療法(エダラボン(ラジカット)の点滴)輸液をするという事。
あとこの脳梗塞は脳のダメージを受けた部分が予想より範囲が少し狭いそう、なぜかは推論だけど血管の太いところ(今回血栓ができた所)とは別の場所から細い血管が成長している様子が見え、それが本来だめになるはずの部分の脳に血流を行くようにしているから範囲が狭いのではないか、この血管の成長はここ何日かで起きたことではなくて月単位、年単位で成長するものらしい、だからもともと今回つまった太い血管というのは元から少し狭まっていて血流が弱かったのではないか、そして今回の脱水症状がきっかけで血栓が詰まったのではないか、という事。
本人に説明する時はご主人とよく話し合われて両親から説明するのか、私(先生)の方から説明するのか、は決めてくださって大丈夫ですし、何度でも同じ説明はさせていただきますから。と。
元から狭かったのかもしれないってどうしてなんだろう…私が食べさせていたもの、かけてしまったストレスがこのような結果を招いてしまったのかもしれない。
説明を聞いて戻ると長女がちょうどトイレをしようと起き上がって立っている。少し離れた便器の所に行こうとしてきちんと立っている。危ないという思いと立ててる!という思いがないまぜになる。おしっこは朝からオムツに変えたのでそのオムツにもれてしまっていたけど、さっきもとれなかった尿検査のカップでちゃんとおしっこを取らないとという思いで必死に立ったのだろう。昨夜よりは左足が少し動いている!「すごいじゃん、ちゃんと立ってすこし歩けたじゃん」
左手足はこのように少し良くなったり、顔の左側は今朝は少し動いたのに今は動かなくなっていたり、一進一退のよう。きっとこういう感じでリハビリを少しずつ進めて、どこか少し良くなったり、どこかが悪くなったり、繰り返していくのかな。
長女は検査が続いて疲れたのだろう、すぐ眠った。
先程説明された先生のそばにいた若い方の女性の先生が様子を見に来る。改めて挨拶された、そして「お父様もお母様も何か医療関係なのですか?こんな込み入った話なのに質問される様子とかすごく理解されているという感じがします。」いや空いてる時間はスマホでめちゃめちゃ調べてるんです。よくなるかどうか。とは答えずに「そういう番組とかよく見ますし」と。「私はまだ勉強中なのですが、子どもがこのような症状になるのは他の先生方も数例しか見たことがない珍しいもの」だそう。私は「何か昔からすごく寝起きが機嫌が悪かったりしたり、熱が出たら熱せん妄になりやすいのは、先ほど伺った血管が元から狭かった影響があるからなんじゃないかとか、そういうふうに考えちゃったり…するんです」と言うと「それはお子さんそれぞれけいれんが出やすいとかそういう特徴の一つとして考えた方がいいかもしれませんね。」と。そうだ、なにごとも原因と結果が単純につながっている訳ではないのだから。
長女の名前はキリスト教のある文句からとっためずらしいものなのだが、その若い先生は小さいころ教会で出会った女の子に同じ名前の子がいた、という話。
主人がつけたのだ。主よ、あわれみたまえ。
その後、心臓をエコーで検査するというのでエコ―の機械が部屋に運び込まれ、透明なゼリーを塗られて見られる。白黒の超音波の映像で動いている心臓が分かる。元気に動いている。
「お母さんも長女ちゃんと次女ちゃんがお腹にいる時にこれで赤ちゃん元気かな~って調べたんだよ」
動いている様子を見て「変な人がしゃべっているみたい」「犬みたい」「ねこみたい」と言う長女。結構長い間いろんな角度から見られる。
その後、循環器科の先生たちがぞろぞろ4、5人でやってきてもっと良い画質で取れるエコー検査をされる。
何かあるようだ。画像の一部、小さな何かの塊のようなものがピロピロっと細かく動いている所を指さしながら先生同士で
「この左心房のシンジ(?)の所ですね…ここからみると…3,4ミリ…でもこっちから見るともっと大きい…」というようなことを喋っている。心臓に何かがある…?えぇ…?心臓…?
心エコーが終わり。色々重なって疲れただろう。眠そうな長女。
しばらくしてまた主治医の先生が来て別室で説明を受ける。今度は幾分表情が硬い。
「先ほどのエコー検査で少し聞かれたかと思いますが、心臓に良性の腫瘍があって、これが7,8ミリくらいなんです。で、これが大きい塊と言う感じではなくて、もろいべとっとした感じでくっついていて、これの欠片がはがれて血流にのって脳まで行ったと考えられます。これは心臓粘液腫と言う病気の可能性があって、何度も成長するのでまた起きる可能性があります。でこの心臓は内科的に点滴や薬で治療することはできないので、外科的に治療、つまり手術となると思います。
しかしこの病院では小児の心臓手術は行っていないので、この都内で2か所そのような手術ができそうなところがあるんですね、今日明日にでもそちらに問い合わせて、こういった手術の経験があるかどうか、もしできるならいつ頃どのような手術になって転院となるか、という話をするという経緯になると思います。」と。「もし手術となったらすぐ2,3日以内という訳ではないと思いますが、何か月も先という事ではないと思います。」「大人にはよく見られるんですがこどもではあまり見たことがありません」「長女ちゃんにはこういった事情をお話しするのは転院となる前の方が良いかと思いますので、よくご主人と話し合われて」
心臓の…手術…これまででも大変なのにもっと大変なことになってきている。ただ原因がはっきりしたわけでこれを取り除くことが出来れば再発の危険性はかなり低くなるという事だろう。しかし手術には相当のリスクがある訳で…ただやるとなったらやるしかないが、しかしこの脳梗塞のリハビリが遅れるとどんどん悪くなったりするんじゃないかとかそういう事が心配になってくる。
その後点滴がちゃんと効いているか採血。色々あった。ありすぎた。
母に電話「明日行くけん、長女ちゃんどう?」「脳梗塞よ」「えぇっ…」「脳梗塞よ」
「まぁ…」言葉にならないよう。「でもお医者さんに任せてあんたはしっかりしんさいよ。大丈夫じゃけん」
心臓に原因がある、夫のお義母さんも明日来ることなど話す。
その後しばらくして二人の兄からの電話
上の兄「大変じゃったう」これまでの胃腸炎からの心臓までの経緯を私は物事を整理するように話す。実際経緯立てて話すことで自分の中でも落ち着いてきたようなそんな気がする。
下の兄「ぜにはいくらでも出してやるけん、いいお医者さんを調べてかかりんさい。」「お前は落ち着いとるのお、母さん(私たちの母)だったらパニックになって裸で市内を走りまわっとたかもしれんで」はは…たしかにそうだ。母はすぐにパニックになるとわけのわからないことをしだすのだ。
夕食もしっかり食べたがとても眠そうな長女。寝る?と聞いてもお父さんが帰ってくるまで待っているつもりらしい。今度は右の足と目の横が痛いと言いだす長女、ナースコール。冷やし枕でその部分を冷やしながらずうっとさする。
8時ごろ夫が帰ってきて交代。私はタクシーで家に帰り、次女をお友達の家からピックアップ。楽しく遊んでもらったようで「すごくおもしろかった!メルちゃんのいえもあるんだよ!」
ただ寝かしつけるとき次女、咳が酷い。お友達のママが用意してくれていた咳止めシロップを飲んで寝る。夜中静かになるといろんな思いがよぎる。この2段ベッドにお姉ちゃんが登れる日がまた来るのだろうか、と。10日前まで普通に2段ベッドの上に寝て、私と次女が下に寝て、としていたのに。そんなことを思ったらどうしても涙が出そうになる。こんなこと思う事すら今はダメだ。必ず大丈夫になる。2段ベッドなんかクソ食らえ。