2016/01/26 転院

朝、おしっこで起きるとやはりベッド脇の便器まで間に合わずオムツにしてしまうが、私が「まぁオムツで漏れないし大丈夫」と言うと長女「この歳になってオムツを履くとは」と自虐風に言う。「今はしょうがないから、いいんだよこれで」と言うと頷く。昨日ダウンロードしておいたドラえもんの漢字ゲームのアプリを見せると、すぐに食いついて楽しそうにやり始める。その合間に私はシャワー。

朝ごはんがきたのだがその前におしっこといい起き上がり、介助しながら立たせるも再度便器まで間に合わず。オムツを替えて寝かせるとまた右足が痛い痛いと泣き出した。痛み止めの点滴。

落ち着いたので朝食を食べる。私が買ってきていたチーズのパンを半分食べた。その代わり自分の苦手な牛乳を私にくれる。「お母さんパンに牛乳合うから飲めばいいじゃない」「いやそれ長女ちゃんが苦手だからでしょ」とか笑いながらそう言う会話。あとはお茶をカップに入れて飲んでいたら長女「尿検査の代わりにお茶を出すなんてねえ」それは覚せい剤で捕まった歌手のあの人の事なのかい「お母さんあの人の歌、結構好きなんだけどああ言う覚せい剤とかそう言うことしちゃダメだよねぇ」「うん、覚せい剤で脳が縮こまっちゃうのにやめられないんでしょ」とか「脳が縮こまっちゃうと気が狂ったようになっちゃうんでしょ」とか。自分の脳の事は全然大丈夫だと思っている長女はそんな会話も気軽にして来る。「そうだねえ、でも覚せい剤って言うのは一度始めるとやめられない病気になっちゃうから大変なんだよね。」「なんでそんなのする人がいるの」「最初は気分がスッキリするサプリだとか言って進められて騙されて飲んじゃう人も多いんだって、悪い人がいるねえ」「そうだね、サプリだと言われて飲んじゃったら分かんない。」とか。長女はとにかく永遠に話していられるくらいおしゃべりなのだ。

食べ終わって長女の歯磨きをしているとまた右足が痛いという。なんか怖い。ここに血栓があるのではないかとさすりながら思う。だが昨日のエコーで足や首に血栓は見つからなかった。だから動かなくなった方をかばって動く右足が無理をしているのかな、という見解が強いらしいが、こんなに痛がると何かあるんじゃないかと思ってしまう。さすっていると眠った。9時半ごろ、採血をしに先生が来る。なかなか血管を捉えられず痛いと言って泣く長女。痛い思いばっかりでしんどいだろう。今日はこれから病院を移ってまた検査が続くだろうからきっと疲れるだろう。しかしこれでしっかり調べてしっかり治してリハビリして家に戻って一緒に暮らすための工程なのだ。と思いながら。また心エコーの検査へ。その間に主人が家から到着した。母が長女へ買ったらしいパジャマや脱ぎ着しやすい上履きを持ってきてくれた。

心エコーから部屋に帰ってきたその時、長女の様子がおかしくなる。心電図を図るためのシールを胸に看護師さんが貼ろうとした時に自分が貼りたかったのか動く右手でそのシールを看護師さんから取ろうとし、看護師さんが「貼る場所が決まっているから看護師さんにやらせてねー」と言っているのにシールを離そうとせず起き上がろうとしながらも全然返事がない、視線も少しおかしい。いびきのような音を3度出し、ぐったりしているけど目は空いている。看護師、夫、私で「長女ちゃん?長女ちゃん!聞こえる?長女ちゃん!」大きな声で読んでも目は空いているのに返事がない。どこか一点を見つめている。ナースコールで大声で先生を呼んで先生や看護師さんがドッとやってきて酸素マスクをかぶせたり他のいろんなことをしている間に少し長女の意識が戻り酸素マスクを嫌がって外したいそぶりを見せる。やだやだやだ、と言っている「何が嫌なの?教えて?お母さんわかる?」と大きい声で言ってもよくわかってない様子。ストレッチャーですぐにCTの検査へ向かう。向かう途中で意識がなくなったようになって肩を少し叩いて名を呼ぶとちょっと目を覚まして酸素マスクを嫌がってまた意識がなくなって、を2、3度繰り返して完全に意識がなくなった。CTは先に誰か使っていて横で待つ。待つ間、長女の顔を見ながらずっと頭を撫でる。もしかしたらもっと悪いことになるかもしれない。待たされる時間が永遠に感じる。早くしてくれ、と思いながら頭を撫で続ける。

CTが終わりドアが開くと長女が何か喋っているのが見えて少しホッとする。とにかく酸素マスクを嫌がっている。「なにこれ?なにこれ?」と聞いている。「酸素マスクだよ」「いやだいやだ〜」検査から部屋に戻ると少し朦朧としながらも様子が元に戻っているようだ。酸素マスクの匂いが嫌なようで、クサイと言って取るのだが、夫が “酸素バー” と言うのがあって、疲れた大人がわざわざお金を払って酸素を吸いに行く所があるんだよ。とか、これやると頭がすっきりして疲れが取れるんだって、とかそんな感じに面白いよねーとか話してやったりするとじょじょに自分ではめてみると言ってはめた。ふぅ…こんなに深い安堵のため息をついた事が有っただろうか…とりあえずは良かった…でもこれは非常に危険な領域と言うか、本当に危なかった。

主治医の先生いわくCTの検査結果は、脳自体が少し膨らんでいるようだと言うことだった。何か恐ろしい事が起こったかもしれないが、夫が長女に何もなかったように楽しく話しかけてくれて雰囲気としては元に戻っている。

しばらくして主治医の先生が “移る先の病院にこう言う事があったと連絡したら、すぐに迎えにきてくれるそうですので、急ですが準備なさっていてください” と。ばたばたと荷物をまとめる。

ほどなくして迎えが来た。転院先のドクターが来ており、どのような状況だったのか詳しく聞き取りされる。救急車に付き添いはできないようだ。ストレッチャーで運ばれる長女に「後から車で追いかけるからね、移った先で会えるからまたね」と言うと「うん、わかった」と言って運ばれて乗せられた車は過去に一度しか見たことのない内部にすごい装備のありそうな小児救急車だった。

小児救急車を見送ったその場で主治医の先生達と別れの挨拶。「本当にお世話になりました」「いえ、力及ばずなかなかお役に立てませんでした」気持ちですと言ってお礼の入ったポチ袋を渡そうとするも拒否される。まあそうだろうと思いながら引っ込める。「それでしたら是非退院されてご挨拶に来ていただけたら、それが一番嬉しいことですので」と言う先生。「戻って挨拶に来ます。本当にありがとうございました。」と言いながらこみ上げてしまう。本当に退院して挨拶に来たい。いい先生だった。

そのまま夫とタクシーに乗り次の病院へ。さっきはびっくりしたと言う話から、今日は移動や検査で長女が疲れるだろうなと言う話から東京都は子どもの医療費がほぼかからないと言うのが凄いと言う話など。

ついた病院は想像以上に大きく近代的なビルで思わず口をあんぐり開けながら「すげぇ」と言ってしまうような設計と内装でやや緊張しながら入院受付や初診受付など、おたおたしていたら控え室のような場所へ案内され、1時間以上待たされる。何も言ってこないこの時間に何かあったのか、単に検査しているだけなのか、不安になる程待たされる。
ようやく現れたドクターに聞かれたのはさきほど小児救急車に乗る前に話した内容とほぼ同じもの。念のためという感じだろうか。
それからまたしばらくたってようやく長女のいる場所へ案内された。長女はいつものように饒舌におしゃべりしている。周りに今何しているのか質問しまくっているのだろう。見せてもらっているポニョについても喋っている。ひとまずホッとする。前の病院の先生から連絡を受けていたと言う初老の先生もいらして検査していた様子。1人の若い男性医師が「お子さん多弁(おしゃべり)ですか?」と聞いて来る。「はい、そうなんです」と苦笑い。普通の精神状態か異常なのか聞いているのだろう。私も普段この子は陽気な酔っぱらいかよ、と思うことがよくあるのだった。一旦ここで少し会えた後にまた集中治療室へ移動すると言うので私と夫はその手前の家族控え室に通される。ここでもまた非常に長く待たされたが、こういった場合は検査と治療に専念しなけりゃいけないので致し方ないだろう。その間に夫に入院用に必要なものを一階のコンビニで買って来てもらう。そのうち看護師さんが来て長女や家族の詳細な聞き取り調査をされる。そして医師の説明。MRIなど色々検査をしております。と言うこと。

ようやく集中治療室のベッドへ通される。ここも凄い設備でおわ〜、となるが重症の小さな子が寝かせられているのを見ると胸の奥ががぎゅっとなる。寝ている長女はまた新しい点滴の管を付けられている。しばらくして起きるとすぐに「お腹が空いた。なんでもいいから食べたい。きゅうりにそのままマヨネーズかけたのでもいいから食べたい」と。しかし今日は食べられないのは前もって聞いていたので、仕方ないんだよ、悪いところを調べるためにね。と言うと、頷いてくれたが相当我慢しているだろう。早く食べさせてもらいたい。先のことを考えるために退院した後どこに行きたいか、と言う話を繰り返ししている。ディズニーランドとシー。今日はケンタッキーのチキンが食べたいと言うのが加わった。

循環器科の先生から呼ばれ別室で話。なんと朝まで心臓にあった塊がこちらに来て再検査したところ見当たらなくなっているらしい。えっ…。となると前の病院の見立ての「心臓粘液腫」と言う可能性が低くなって、腫瘍でなく他の血栓であるとか、ウイルス性心筋症でバイキンが作った塊みたいな可能性も出て来る訳で、それはこれからの検査で時間がかかるかもしれないが探っていくこと。へっ…。なので近々に心臓の手術は必要という訳ではなくなったこと。ほっ…えっ…でも、心臓からなくなった塊は今どこに…?それは今入れている血液サラサラ点滴でばらばらになった可能性もあるけれど、大きい塊だったので今回の脳の血管に追加で詰まったとしたらそれほどの症状は出ていないのかもしれないし、別のどこかに詰まっていたとしたら強い痛みであるとか腎臓の数値が悪いとかそういったものが出て来ているはずなので、これから足やお腹のエコー検査で探っていく感じになります。…なるほど。また、心臓からなくなったからと言ってまた出来ないとも限らないし、粘液腫だとしたら手術で取れば再発の可能性は低くなるけど、もしほかの血栓ができやすい持病だとしたら再発するので長い間付き合っていかなければならず、どちらがリスクが高いかと言うのはなんとも言えない、とのこと。なるほど…。

心臓から動いた塊よ。お前はもう溶けて無くなっていいんだよ…消えておくれ…

再び長女の元に戻り、病状とはなんの関係もないおしゃべりをする。でも眠そうだ。ここの集中治療室の面会の時間が昼の2時から夜の9時までなので、付き添いの泊まりは無し。また明日来るからね、と言うとうん、じゃあね、と。

夫と帰りながら、心臓手術は無くなったのはとりあえず安心だけど…みたいな話。自宅から位置的に離れたのでだいたい1時間かかる。車がないのでタクシーで来るとすると3、40分かかる。緊急で呼ばれないことを祈る。

家に戻ると二人のおばあちゃんに遊んでもらっていた次女だが、私と夫を見るとちょっと赤ちゃんがえりのような甘え方をしだした。そうだよなぁ。我慢して良い子にしてくれてありがとうね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA